UB RAILFAN  車両ガイド客車編 (5)  モスクワ行き国際列車用新型客車

    モスクワ行き国際列車用新型客車

     

     ウランバートル〜モスクワ国際列車(5/6列車)のモンゴル担当列車に、2014年5月より使用された新型客車です。

     ロシア・TRANSMASHHOLIING社のトヴェリ工場製で、今までの車両には無かった、エアコン、自動ドア、真空タンクのトイレ

    を装備し、コンパートメント内のTVで衛星放送やビデオも見られると、在来型から一気に進化いたしました。

     両端に赤、中央に水色の明るいカラーの塗装は、モンゴルの国旗をイメージしたものです。

     

    編成 (2014年7月28日にUB駅の6列車)

     

     車番は中国製新型車両に続く番号。ウランバートル鉄道がこの客車を購入したのは15両との事なので、他にMECT36の 539,540,542 が存在する事が伺えます。荷物車の148は新型ではなく旧来からのものを塗装変更しただけ。ナウシキ〜

    モスクワ間はロシア国鉄の食堂車が連結されます。


     MECT36  534 寝台側(2014/7/28)

     基本となる4人用コンパートメント×9室=MECT(定員)36名車で形式は61-4440

     全長は連結器面間で25.5mで在来型客車より大型化しています。左から、ドア(通常使用しない)、トイレ2室(窓無)、4人用

    コンパートメントが9室、乗務員用寝台室、公式車掌室、倉庫(窓無)、ドアという配置。コンパートメントの窓は固定で、乗務員用

    寝台室と公式車掌室のみ上部3分の1が内側に開閉可能。車掌室側屋根に冷房が設置されています。重量は58.1トン。


     MECT36  543 通路側(2015/7/30)

     同じく4人用コンパートメント車、形式61-4440の通路側。

     左側が車掌室側で、ドア横に石炭炊きボイラー(煙突が見えます)、ドア上に冷房装置があります。暖房は資料によると通常は

    電気ヒーターによる温水暖房なのですが、酷寒地での故障時に乗客を凍死させないため、現在も石炭ボイラーが残されています。

    通路の窓は2か所が開くようになっています。


     MECT26  531 寝台側(2014/7/28)

     4人用コンパートメント6室の他に、車椅子対応コンパートメント(定員2名)のある車両でMECT26、形式は61-4445

     左から、車椅子対応幅広ドア、トイレ1室(窓無)、車椅子対応トイレ1室(大窓)、бытовое помещение、車椅子対応コンパート

    メント1室(2段ベット)、4人用コンパートメント6室、乗務員用寝台室、公式車掌室、倉庫、ドアという配置。бытовое помещение

    は翻訳ソフトに入れると国内施設と訳されてしまうのですが、列車内のテレビの放送設備のある部屋のようです。車掌室側屋根

    にはアンテナのようなものも見えます。車椅子対応トイレ・コンパートメントの窓は開閉が可能になっています。


     MECT18  616 寝台側(2014/7/28)

     2人用コンパートメント車、形式は61-4440で上で紹介した4人用コンパートメント車と同じのバージョン違い。

     上段ベットが無いだけの2人用コンパートメントで、中国国鉄RW19やウランバートル鉄道の北京行き新型車のMECT20のように、

    2室で共用する洗面・シャワー室等の設備はありません。


     

     荷物車  148 ウランバートルで北側(2014/7/28)

    こちらは在来型客車の荷物車で塗装だけ変更したもの。


    532の車掌室側写真

     ドアは自動のプラグドア、右側のボタンを押すとピコピコ警報音なってしばらくして開閉します。ステップも同時にゆっくりと

    昇降します。サボはウランバートル〜モスクワ列車でしか使用されないためか鉄製の固定タイプで、ロシアも中国も昔ながらの

    鉄製のサボは使われなくなってしまったので貴重な存在。車体に書かれた最高速度は160km/m。

サボは鉄製ですが、国章はステッカータイプのものになってしまっています。

連結部分はこのようなデザインとなる。

 


    在来型車両によるウランバートル〜モスクワ国際列車(2014/8/8)

     この列車は夏季(5月〜10月)は1週間に1本、冬季は2週間に1本運転されます。冬季は1編成で足りるのですが、夏季は

    2編成必要。しかし新型車両は1編成しかないため、もう1編成は古い在来型車両で運転されます。

     在来型車両は、エアコン無し、ドアは手動、トイレは垂れ流しと、新型と格差が激しいのにもかかわらず、同じ料金であること

    が不思議なぐらい。しかし長所をあげれば、夏は窓が開き爽やかなシベリアの風を感じられ、冬は石炭焚きサモワールでお茶

    が飲め、昔ながらのシベリア鉄道の旅を堪能できます。古い車両を愛する鉄道ファンにとっても、モンゴルでも数が少なくなった

    原型窓を残す旧東ドイツ製のAMMENDORF WAGEN、そして世界中で急速に数を減らしつつある社会主義時代の名残の濃い

    緑色塗装と、魅力は一杯。どちらが良いかはその人次第です。

     2014年の夏は 8/1 , 8/15 , 8/29 , 9/12 … ウランバートル発の列車が新型車両、

     8/8 , 8/22 , 9/5 , 9/19 … ウランバートル発の列車が在来型車両での運行となっています。

 

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