モンゴルの鉄道の概要
モンゴルの国土中央部を、ロシア側国境からウランバートルを経由し中国国境へ抜ける南北縦断線とその支線、さらに東部エレーンツァブからバヤントゥーメン・マンダルへの路線、総延長約1800kmからなります。社会主義国時代、ソビエト社会主義共和国連邦の指導で建設されたので、ゲージは1520mmの広軌、全線非電化、単線区間がほぼ100％（ダルハン�機船瀬襯魯鶚供▲Ε薀鵐弌璽肇襦船肇襯乾ぅ奪箸龍呂�な部分のみ単線並列）、運営は開業以来モンゴル・ロシア（開業時はソ連）との合弁会社（開業時は公社）の「ウランバートル鉄道」で行われています。 旅客列車はウランバートルを起点に1日数本の国内列車の他、中国・ロシアへの国際列車が週に数本運転されます。モンゴルを縦断し1週間かけて北京・モスクワを結ぶ3、4列車の存在は海外に目を向ける鉄道ファンにおなじみです。 ここ数年、旅客輸送量は減少傾向にあるようで運転本数も減っています。バスとの競合からか、2007年夏にウランバートルからナライハへの市郊列車、2009年1月にウランバートルからダルハンへの急行列車、ウランバートルからチョイル・バガノールへの列車が廃止されています。現在ウランバートルからダルハン・バガノール・エルデネトへの道路は舗装され、バスを利用すると鉄道に比べて、価格はコンパートメント車と普通車の中間、所要時間は半分以下で着いてしまいます。 貨物輸送の内訳は2008年のデータで、50％が国内石炭輸送、25％が輸出入貨物、残り25％通貨貨物となっていました。2010年から、モンゴル北部セレンゲ県から中国側への鉄鉱石の輸出、モンゴル南部ゴビ地方からロシア側への石炭の輸出が始まりましたので、今後は輸出貨物の割合がどんどん増えていくものと予想されます。通過貨物については、ヨーロッパとアジア東部を結ぶ最短ルートに位置しているのですが、現在も単線非電化、低予算でトンネル・橋梁を避け建設されたための曲線区間が多く占める線形、中国側国境でゲージの違いによる貨物の積替え作業があるといった理由から輸送量は多くはありません。2008年のデータでは、ヨーロッパ〜東アジア間の全輸送量の0.1％がモンゴルを鉄道で通過したとの事です。
モンゴルの鉄道の歴史
民間の鉱山鉄道
2009-10?年に誕生したモンゴル唯一の民間鉱山鉄道は、Bold Tumur Eruu Gol社の保有する Bold Tumur Eruu Gol-Railway。モンゴル北部セレンゲ県に位置し、ドラーンハーン（ウランバートル鉄道だとユルー駅）からバヤンゴル鉱床まで伸びる98kmの路線。ここでは鉄鉱石が採れ、この会社の所有する貨車（無蓋車）でウランバートル鉄道を利用し原石のまま中国へ輸出されます。 中国資本の会社のようで、線内で活躍するディーゼル機関車や大量に保有する新製無蓋車はすべて中国製。左は貨車に描かれるこの会社のFe（鉄）を掘るマーク。
計画されている新線
（第1期） １、タワントルゴイ（ウハーフダグ）炭鉱からオユトルゴイ（金・銅鉱山）を経由し中国国境のガシューンスハイトまでの267km。 タワントルゴイは世界最大規模と言われる炭鉱で、ここで採れる良質な石炭は現在超大型トラックで中国へ輸出されている。鉄道建設に当たっては、このルートで2008年に工事許可が下りるも、中国に向けて建設するかロシアに向けて建設するか、そしてケージ（線路幅）は中国に接続すべく標準軌(1435mm)にするか、既存のモンゴル・ロシアの鉄道に接続すべく広軌(1520mm)にするか、さんざん議論され続け、工事をスタートさせなかった問題のルート。しかしやっと2013年の秋に工事がスタート、モンゴル鉄道公式ウェブサイトによれば、2015年6月時点で工事進捗率は86.6％との事。 ２、タワントルゴイ炭鉱からツァガーンソブラガ（銅鉱山）を経由しサインシャンダまでの468km。 ３、サインシャンダからバルーンウルトを経由しフートまでの450km。 ４、フートからチョイバルサンまでの155km。 中国に依存するのは好ましくない、チョイバルサンで既存の東部の鉄道に接続し、ロシア経由で日本海まで運び日本や韓国にも石炭を輸出できるようにと計画されるルート。2009年の発表時にはサインシャンダからチョイバルサンまで一直線に線が引かれていた。距離が長すぎて輸送コストが高くなり、とても世界との価格競争に勝てないだろうとも言われている。このルート計画とチョイバルサンからエレーンツァブまでの既存路線の改良にあたってのコンサルタント業務は日本工営株式会社が受注している。 ５、フートからタムサグブラグを経由しヌムルグまでの380km。 こちらは中蒙国境の阿爾山へ接続し、白城〜長春〜吉林〜図們〜北朝鮮の羅津港へと至るルート。 ６、ナリーン・スハイト炭鉱から中国国境のシベーフレンまでの46km 既に高速道路が建設され、現在超大型トラックで中国へ輸出されている。中国側シベーフレンまでは既に鉄道が開通している。 （第2期） ・フートからビチグトの200km 2011年に発表された時はフートから分岐していたが、2015年時点での計画図ではフートから100km程ヌルムグ側の地点から分岐してビチグトに向かうようになっている。 （第3期） ・タワントルゴイからモンゴル西部へと伸びる各線 とりあえずは線を引いてみたといった感じ、もしも実現すれば大山岳路線となる。 （その他、発表されたプラン・構想） モンゴル南北縦断線のウランバートル迂回路線（ボグドハン鉄道） ウランバートルは盆地であるため、その近辺は勾配区間・曲線区間が多く、輸送上のネックとなっている。そこでウランバートル市南に位置するボクトハン山地を越えた側の平坦な土地に線路を敷き、輸送力を増大させる計画。北はラシャーント駅、南はマニート駅を分岐点とし、途中現在建設中の新空港付近を通る。 エルデネトからムルンを経由しオボート炭鉱まで 2012年6月、Aspire Mining Limitedという鉱山会社がウランバートル鉄道とこの開発にあたりMOU（了解覚書）を交わしたと報道されている。この会社が発表した地図を見ると、エルデネト・ムルン間はウランバートル鉄道が所有・運営、ムルン・オボート炭鉱間は鉱山会社が所有・運営となる模様。 もしムルンまで旅客列車が走るとなると、モンゴルの秘境・フブスブル湖がぐっと近くなる。 ウランバートルの地下鉄計画 渋滞の酷すぎる市内を地下鉄建設で解決しようとするプラン。トルゴイット〜ウランバートル〜アムガラン間約17�劼了圓鯏貔召冒�る第1路線と、南北に走り現空港（ウランバートルは新空港を違う場所に建設中）とも結ぶ第2路線。車輌は小型のLRTで市中心部で地下に潜る。 まずは2010年8月に韓国ソースエンジニアリングとソウルメトロの合弁会社が事前調査を行う契約を国際入札で得たと報道される。2011年6月の日経新聞では日本政府と丸紅がこの事業に参画する方針を固めたとの報道で、第1路線の設計は2012年開始、開業は2017年予定と書かれていた。2013年にJICAが調査を開始。その後の進捗状況は不明。 2015年6月20日 最終更新
参考資料 モンゴル鉄道70周年記念冊子 モンゴル通信（ウランバートルで発行の日本語新聞） 在モンゴル日本国大使館HP内の政務週間動向、及び経済トピック JICA、JETROの発行する資料 Mongolia Direct , UB Post , Mongolian Economy and Finance 、他
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