UB RAILFAN 車両ガイド客車編 (2) 製造国による分類 |
�� 東ドイツ〜統一ドイツ製客車
シベリア鉄道ではお馴染の存在の、コメコン体制の中、特にソ連向けに大量に製造された東ドイツ・AMMENDORF工場製で
“AMMENDORF WAGEN”（又は“AMMENDORF WAGON”）と呼ばれている客車です。統一ドイツとなってからも製造され続け
ました。製造されたのはコンパートメント車と食堂車に特化されています。バッファー間24.5m、OSShD-B規格（規格に関して
は正しいかどうか管理人自信無し）。日本の鉄道ファンの間では“共産国標準型客車”又は“DWA車”とよく呼ばれています。
モンゴルでも最も数の多いグループで、2人用・4人用コンパートメント車と食堂車で活躍中。外観は日本のスハ43系とナハ
10系を足して2で割ったような、とても均整のとれた美しいスタイルで、製造時期により僅かなディティールの差はありますが、
基本設計は全く不変で1990年代まで同じスタイルで製造され続けました。中国国鉄も多数輸入しており、モンゴル・ロシア
乗り入れ用の18・19系と国内用24系客車がこれに相当します。
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この会社の歴史は調べてみるとちょっと面白く、元は1823年に後に東ドイツ側となる都市・ハレにて生まれた、ゴットフリート
リンドナーという馬具メーカー、1830年から馬車の製造を始めます。同じく馬具メーカーであったフランスのエルメス社が、自動
車の発達・馬車の衰退を予測し革製品の製造へシフトしたのは有名な話ですが、この会社は馬車→鉄道馬車→路面電車の
製造と運輸一筋でいろいろな会社を買収しながら成長してゆきます。
しかし2度の世界大戦を経て東側となってしまい国営化。1952年に“VEB Waggonbau Ammendorf”に社名変更。そしてコメ
コン体制の中、ここで大量のソ連向けコンパートメント客車と食堂車の製造がされる事となります。客車の他にもゴーダワゴン
と呼ばれる路面電車も大量に製造されており、路面電車ファンにはこちらのほうが有名みたいです。
1989年に冷戦終結、そして東西統一、その後も客車の製造は続きます。1995年には会社も民営化され社名を、“Deutsche Waggonbau AG”（DWA)に変えます。1996年にはドイツの新幹線ICEの中間車や電機部品の製造も手掛けるようにもなりますが、1998年にボンバルディア・トランスポーテーション社に買収されてその歴史を終えます。
下は社会主義時代→統一ドイツ後→会社の民営化と変化するこの会社の製造プレートです。
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民主化以前・東ドイツ時代
1987年製の457の製造プレート
VEB WAGGONEBAU AMMENDORF
一番下はキリル文字で
ГЕРМАНСКАЯ ДЕМОКРАТИЧЕСКАЯ РЕСПУБЛИКА
ドイツ民主共和国（東ドイツ）の表記 |
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民主化以降・統一ドイツ時代
1992年製の477の製造プレート
Waggonbau Ammendorf GmbH
ein Unternehmen der Deutschen Waggonbau AG DWA
一番下に英語で Made in Germany の表記 |
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会社の民営化後
1996年製の486の製造プレート
DEUTSCHE WAGGONBAU AG
WERK AMMENDORF
DWA
製造プレートはデッキのステップ部にあります。 |
�� ソ連〜ロシア製客車
こちらもコメコン時代から製造されているソ連〜ロシア製客車。モスクワ北西170kmに位置するトヴェリ市（ソ連時代の地名は
カリーニン）のトヴェリ客車工場製。東ドイツ客車がコンパートメント車と食堂車に特化されていたのに対し、こちらは開放型寝台
車と荷物車に特化されていた模様。規格は上と同じバッファー間24.5mのOSShD-Bながら、日本の初期のステンレス車のような
コルゲート状外板が何よりも特徴。
現在もロシア・TRANSMASHHOLIING社に引き継がれて製造を続けており、コメコン時代から窓配置等の基本設計は全く変わ
らないままで、どんどん進化しているところが面白い。日本の客車に例えると、オハ35系→スハ43系となった後、スタイルがスハ
43系のまま、空調化、窓の固定化、高速化（160km/h等）、乗降ドアの自動ドア・プラグドア化が行われているといった感じです。
モンゴルの鉄道では2番目に多い両数で、在来型客車の開放型寝台車（MECT54/81)と荷物車のすべて、2014年にデビュー
したモスクワ行き国際列車用新型客車で活躍中。
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こちらも歴史は古く、元はフランス・ベルギー資本の1898年にトヴェリ市に設立された Upper Volga Railway Materials Plant という工場。20世紀初頭から客車の製造を開始し、1905年には世界初となる2階建て客車も製造します。1918年に国有化し ТВЕРСКОЙ ВАГОНОСТРОИТЕЛЬНЫЙ ЗАВОД （トヴェリ客車工場）となります。1961年から自国向け規格型客車の大量生産を開始、ちなみに1970年には両運転台客車の屋根上にジェットエンジンを乗せた「ターボジェットトレイン」（249km/hを記録するも燃費が悪すぎて開発は中止）なるものも製造しています。1991年のソ連崩壊を経て1993年に民営化。
トヴェリ市は1931年から1991年までの間、この地方で生まれた革命家ミハイル・カリーニン因んでカリーニン市と改名されていました。これに伴い工場名もКАЛИНИНСКИЙ ВАГОНОСТРОИТЕЛЬНЫЙ ЗАВОД （カリーニン客車工場）と変えており、車体妻面にある製造銘板にその歴史を見ることができます。
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左：カリーニン時代に製造された荷物車139の製造プレート
上から「СССР」、「ВАГОНЗАВОД」、マークの下は全く読み取れず一番下に「КАЛИНИН」
中：開放型寝台車996のもので、同じくカリーニン時代でも「СССР」表記が無いものもある。そしてマークも違う。
ペンキの塗り重ねにより製造年が解らなくなってしまっているのが残念。
下：最新型寝台車543の製造プレート
上からТВЕРСКОЙ ВАГОНОСТРОИТЕЛЬНЫЙ ЗАВОД、
モデル： 61 4440 02、客車番号： 00369、製造年月日： 28 04 2014 |
�� 中国製客車
2008年6月、北京オリンピックに合わせてデビューしたウランバートル・北京国際列車専用客車で、現在16両1編成のみ存在
します。中国北車集団唐山軌道客車有限責任公司製。中国国鉄25G客車にそっくりなのですが外板にリブが付くのが特徴。
車体長は上記の東ドイツ（〜統一ドイツ）、ソ連（〜ロシア）製の在来型より明らかに長く、中国の現在の標準規格で製造されて
いると思われます。車体に表記された最高速度は140km/h。今までの在来車との大きな違いは、固定窓に冷房付き、そして
冷暖房その他電源を編成端部に連結された電源車から賄う事。日本で例えるなら20系寝台車の登場にちょうど相当します。
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1両だけ、製造国がよくわからない客車が存在します。車番は63。側面に張り出した窓、妻面に窓があることから、一時は軌道測定車に改造され活躍していたようですが、現在はその用途からも退き、工事用宿営車として余生を送っています。
妻面の形状、リブの形状から東ドイツ製、ソ連製、中国製21系や22系、どれにも当てはまらない。西方快車様のブログに、リブ無しスタイルですがサンクトペテルブルクの鉄道博物館にこれとそっくりなのが保存されているのが掲載されています。そこの解説にはコメコン時代、最初に製造された鋼製客車でポーランド製との事。おそらくこれもポーランド製ではないかと推測しています。 |
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■客車のカラー→
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