UB RAILFAN  車両ガイド客車編 (4)  北京行き国際列車用客車

    北京行き国際列車用客車

     

    ウランバートル近郊の山麓を走る北京行き24列車 (2011/8/27)

     

    2008年6月、北京オリンピック開催に合わせて運用を開始したウランバートル・北京国際列車専用の中国製客車。

    製造は中国北車集団唐山軌道客車有限責任公司。価格は1編成で16,400,000US$との事。

    モンゴルの今までの在来型車との大きな違いは、固定窓に冷房付き、そして冷暖房その他電源を編成端部に連結された

    電源車から賄う事。日本で例えるなら20系寝台車の登場にちょうど相当します。

    中国国鉄25G客車にそっくりなのですが外板にリブが付くのが特徴。車体長は東ドイツ・ソ連製の在来車より明らかに長く、

    中国の現在の標準規格である25.5mで製造されていると思われます。車体に表記された最高速度は140km/h。

    現在16両編成1本のみの存在で予備車はありません。

    編成

    冬季に4人用コンパートメント車(MECT36)を2両、2人用コンパートメント車(MECT20)を1両、減車されることもありました。


     MECT36  521 寝台側(2008/6/5)

    基本となる4人用コンパートメント×9室=MECT(定員)36名車。等級は2/4(2等4人室)、又はкупе(クーペ)で表わされる。

    在来車と定員は同じですが車体長が長くなった分、トイレ等のサービススペースが拡大されています。(シャワー室があるらしい)

    重量は50.6ton。


     MECT36  525 通路側(2008/9/7)

    4人用コンパートメント車の通路側。

    525 は列車長の乗る車両のようで屋根にアンテナが付いています。

    モンゴル国内でしか運用されない0号車 526 と編成順序が入れ替わっているのはこのため。


     MECT20  614 寝台側(2008/6/5)

    2人用コンパートメント×10室=MECT(定員)20名車。等級は1/2(1等2人室)、又はлюкс(リュクス)で表わされる。

    室内は2段ベット+ベットと向かい合わせの1人用ソファー、2室で共用する洗面・トイレ付、

    中国国鉄RW19とほぼ同じ設計ですが、車体長が長くなった分、定員も増えています。

    寝台側は計5室の洗面トイレ室用に設けられた古風なベンチレーターが特徴。床下に3か所水タンクを備えます。

    重量は54.3ton。


     MECT20  615 通路側(2008/9/7)

    2人用コンパートメント車の通路側。


     食堂車  107 厨房側(2008/6/5)

    手前から業務用ドア、厨房、食堂部分。窓配置、屋根のベンチレーターの配置は中国国鉄CA25Gにそっくり。

    丁寧にMECT-40のプレートが貼られており、食堂定員は40名であることが伺えます。


     食堂車  107 通路側(2011/7/2)

    左側の車販スペースはかなり広く取られている模様。重量は48.5ton。


     荷物車  152 ウランバートルで北側(2011/7/23)

    窓の形状、配置は中国国鉄の荷物車XL25Gとほぼ同じ。ただし荷物用扉にはロシア客車のように窓は付かない。

    丁寧にMECT-02(定員2名)のプレートもあり。乗務員用のエアコンも装備する。重量は49.0ton。


     荷物車  152 ウランバートルで南側(2008/9/7)

    2列並んだ小型のベンチレーターが中国製らしい。


     電源車  D/30 ウランバートルで北側(2011/7/23)

    電源車は今までモンゴルに無かった車種で車番は「D/30」。Dは何の略なのか、30の意味は不明です。

    MECT-02(定員2名)のプレートが付きます。車体は他の客車に比べとても短い。重量は62.6ton。


     電源車  D/30 ウランバートルで南側(2008/9/7)

    連結面のバッファー(緩衝器)は、全車共通で中国18系と同じ貫通ほろ枠と一体になったタイプです。

     

    この電源車は2009年1月3日に中国山西省を走行中に火災を発生させてしまい、2010年春に復旧するまで、

    予備車が無いことから1年以上この編成自体運休することになってしまいます。この間、北京・ウランバートル国際列車は、

    この客車が登場する以前の東ドイツ〜統一ドイツ製の在来型客車が復活して代役を務めます。


     

    台車と製造プレート (2008/6/5)

    モンゴルから中国二連以遠に乗り入れる客車は、国境二連で台車をソ連規格軌間1520mm用から標準軌1435mm用に

    交換を行うため、台車に車番を記載しています。台車交換は編成を分割して2列にし、さらに1両1両分割しジャッキで持ち上げ、

    外した台車はワイヤーで一気に団子繋にして車体下から引き出すため、台車の両端には小さなバッファー(緩衝器)が

    付いています。中国のモンゴル乗り入れ用18系・19系も同じ仕様です。

    製造プレートは東ドイツ製客車のように乗降口ステップに付いています。運用開始は2008年ですが2007年に製造されています。


    在来型客車との混結編成 (2010/5/1)

    電源車の火災事故から復旧後、2010年3月から5月の僅かな期間見られた在来型客車との混結編成。

    この時期ウランバートル〜北京国際列車のモンゴル持ち編成が運転されていなかったことから、

    ウランバートル〜二連間の21/22列車に充当されました。

    前からザミンウードから連結される荷物車代用貨車、荷物車、3/4列車用の回送食堂車とMECT18、

    次に二連発の中国製新型車で電源車+荷物車+MECT36×8両、

    後ろにザミンウードから増結されるMECT36とMECT18、さらに軌道検測車2両、全23両編成。

 

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